活用事例
「どこにいても会社の電話が使える」とコスト削減を実現したBYOD事例
企業紹介(はじめに)
株式会社Y社様は、東京都内に本社を置くシステム開発会社で、業務用ソフトウェアやWebシステムやスマートフォンアプリの受託開発、お客様のご要望に応じてエンジニアを派遣するSES事業をおこなっています。従業員数は約90名で、その8割超が開発やインフラのエンジニアという技術者集団。開発のみならず、導入から管理、運営に至るまでワンストップでお客様の課題を解決できることが特長のサービスを提供しています。
お客様先での常駐に加え、リモートワークやハイブリッドワークなど従業員の働き方が多様になる一方で、従業員とのコミュニケーション手段に課題を感じ、「Widefone」を導入いただきました。バックオフィス部門を統括する管理部門長に導入の経緯と効果について伺いました。
導入前の課題-費用面がネックとなり会社端末の貸与が進まない
リモートワークがコミュニケーション手段再考のきっかけ
当社はもともとお客様先に常駐するエンジニアが常時60名ほど稼働しており、本社との連絡手段としてスマホやガラケーを貸与していました。お客様対応でテザリングやデータ通信が必要なエンジニアにはスマホを、そうではないエンジニアにはガラケーといった棲み分けです。
2020年に緊急事態宣言が発令されたと同時に、当社でもリモートワークを導入しました。お客様先に常駐しているエンジニアはお客様の勤務ルールに合わせるのですが、本社に勤務する50名のほとんどが緊急事態宣言中の自宅勤務を希望したための対応です。当社はITサービスを提供する技術者集団ですので、リモートワークに伴う作業環境のスイッチ、例えば勤務先のパソコンと自宅パソコンをリモートでつなぐといったことは問題なかったのですが、課題に感じたのが通信手段の確保でした。
リモートワーク時において、従業員同士のコミュニケーションならチャットで済むのですが、取引先との連絡にはやはり電話は不可欠です。従業員同士でも、細かいニュアンスを伝えたい時には音声を伴ったコミュニケーションが便利です。Web会議ですとそのたびにURLを発行して、相手に伝えて・・・というひと手間が煩わしく、「やっぱり電話は必要」という気づきがあり、リモートワークを開始した従業員全てが電話でのコミュニケーション手段を持っていなかったことに課題を感じました。
コストと機能の要件を叶えられたのがWidefone
急に始まったリモートワークだったこともあり、全員に社用スマホやガラケーの貸与といった決断をすぐにはできませんでした。特に重くのしかかっていたのが費用面での問題です。
社用端末貸与者を増やすとなると、端末の費用はもちろんかかりますし月々の利用料や通話料がアドオンされてしまいます。コミュニケーションの課題が解決できても次は費用面の課題が出てしまうので、検討は非常に慎重になっていました。
(Widefone導入前の音声通信方法は3種類)
- ● 社用スマホの貸与・・・お客様先常駐で、テザリングやデータ通信が必要な約17名
- ● 社用ガラケーの貸与・・・お客様先常駐で、上記以外のエンジニアほか本社従業員約19名
- ● 貸与なし・・・残りの従業員約50名
また、時間外労働の課題もありました。エンジニアは夜間や休日に作業が入ることも少なくありませんが、普通の携帯電話は電源を入れている限り24時間365日着信できてしまうので、急ぎでない業務の依頼が時間外に入ってくることも少なくありませんでした。
そもそも、通信費の圧縮については継続的に頭を悩ませている問題でした。大手通信キャリアの法人契約で比較的安価なサービスを選択してはいたものの、従業員数が増えるほど電話端末台数も増え、毎月の請求額も漸増している状況だったのです。
このような背景があり、いよいよクラウド上で音声通信ができるサービス導入の検討を始めました。
いくつかのサービスと比較しましたが、非常にシンプルな当社の要件を最も安価で実現できるのがWidefoneと考え、導入を結論づけました。
(Y社様のご希望)
- ● 従業員に新しい電話番号を会社から貸与する(ガラケーを貸与している19名の契約変更+これまで貸与がなかった20名の新規契約)
- ● 外線(外部)との通話が主な用途
- ● 業務時間内に限定して着信すること
- ● コストを抑えたい
フェーズに分けてWidefoneを導入
Widefone導入の対象となるのは、社用ガラケー使用者と社用の端末を持っていない従業員の合計90名ですが、それら全員を一度にスイッチするのではなく、まずは試験的に導入した上で効果や従業員たちのリアクションを見て、費用対効果が高いと判断すれば契約継続、という前提で進めることにしました。
なお、お客様先常駐でテザリングやデータ通信が必要な者は、どうしてもその業務特性からスマホ貸与を変更することはできませんので、今回の対象外になります。
「Widefone」に決めた理由の中でもっとも大きなことが「コスト」と「費用対効果」でした。電話番号込みの初期導入費用が900円※という安さは、他のサービスと比較すると群を抜いていると感じました。
また、申込から開通までの手間がほとんどないことも魅力に感じました。今回のようにいくつかのフェーズに分けて効果を見ながら追加していこうと考えていたので、なるべくペーパーワークの手間を省きたい。その希望にも沿っていました。
※お客様導入時の価格です
フェーズに分けて導入(1)(社用端末の貸与がない従業員)
電話対応の手間が省け、業務に集中できる環境が好評
まずは、これまで社用端末の貸与をしてこなかった従業員の中で、リモートワークを継続している者や、お客様や取引先など外部と電話で連絡をする機会がある従業員中心にWidefoneを使ってもらいました。これまで会社が端末を貸与できていなかったのは本当に反省点でして、音声通話での連絡手段が確保できた安心感を皆さんに得ていただきました。
それ以外にも「個人が番号を持つことにより、代表にかかってきた電話を取り次いでもらうことがなくなったので、電話対応がシンプルになった」という声も聞かれました。
電話対応というと「新入社員の業務」というイメージどおり、手間がかかるものです。
電話がかかってきたら部署の誰かが受話器を取り担当者につなぐ、担当者がいなければ先方の名前と連絡先と要件をヒアリングして担当者に伝える、という手間がかかっていました。Widefoneの導入で1人ひとりに電話番号を与えることができたので、「電話を取り次ぐ手間」が省け業務に集中できると好評でした。
フェーズに分けて導入(2)(ガラケーからのスイッチ)
「時間外スケジュール」によるオンオフの切替えで心理的負担を軽減
次に、社用ガラケー使用者をWidefoneに変更することに着手しました。最初に導入した従業員たちの評価が良かったことが安心材料ではあったものの、実は、個人で所有しているスマホを仕事用に使う、そのことに抵抗感を持つ従業員が何名かはいるのではないか?と危惧していました。社内のルール変更には良かれ悪かれ少なからず波風が立つものです。そのため、会社から強制的に変更するのではなく「希望者を募る」という形式にしました。
しかしその心配は杞憂でした。
なんと全ての社用ガラケー保有者が、Widefoneの導入を希望したのです。「仕事のガラケーと個人のスマホの2台持ちが面倒」という声もあったのですが、それよりも「オンオフの切替えができること」が好評でした。
勤務時間外は着信を取り次がず自動メッセージを流す「時間外スケジュール」の機能を活用して、業務時間が過ぎれば電話の着信を行えない設定にしています。これによって従業員の業務時間管理ができますし、従業員たちからは「業務時間外に仕事に関する連絡を受けなくていい」心理的な負担が軽減されたと好評でした。
(時間外スケジュール機能とは)
着信を取り次がない時間帯を設定できる機能です。時間外に着信があった場合はガイダンス音声を流すことができます。お客様に営業時間をご案内する目的だけではなく、従業員の時間外労働の抑制・労務管理にも役立てることができます。追加料金不要で使うことができる、Widefoneの標準機能です。
導入したサービス、オプション
代表電話に関するオプションは利用せず月額費用と通話料のみのミニマムのプランですが、最も大きな課題であったコスト削減の第一歩を踏み出せたと思っています。
電話番号のみの契約の場合には、Widefoneよりも安いサービスがあるかと思いますが、先に述べた「時間外スケジュール」など使いたいと考えていた機能で比較すると他に選択肢はありませんでした。
BYOD手当を導入するも全体のコスト削減に成功
ここでも課題感を持ったのが「BYOD手当」です。従業員の端末を使用するので少なからずその分の手当は必要です。ただ、BYODは比較的新しい概念で相場というものがありませんし、従業員それぞれが使用頻度も異なるので、そのルール付けが非常に困難でした。
これは決めの問題で、運用していく中で適切な価格を見つけようということで、従業員の意見を聞きながら金額を設定しました。
これまで社用端末を付与してこなかった従業員に新規サービスを導入、既存キャリア契約からWidefoneへのスイッチ、またそれらにBYOD手当を付与。この3つが新たにかかるコストです。
新たにコストがかかる反面、これまでかかっていたコストと差し引くと、一人当たり700円程度月額でコスト削減が実現できています。約40名の導入ですので、年間で33万円ほどの節約になります。
会社の電話番号が使える者が増え、業務効率が向上した上でコスト削減も実現できており、大変満足しています。
今後の展望-BCP対策ツールとして活用を模索
第一目標であった「通信費の削減」が叶えられたのでまずは満足していますし、BYODが目的だったので、会社の代表電話番号をIP電話に変更するといった活用は現時点では考えていませんが、将来的にオフィスを移転することになった場合には導入したいと考えています。固定電話の工事はコストもかかりますしオフィス内のレイアウト変更の際には内線設定の変更も何かと面倒でした。それらの心配がないというメリットは大きいと思います。
なお、喫緊ではBCP対策での活用を検討しています。
大規模災害などで大手キャリアに通信障害が起きた際の連絡手段としてIP電話を活用する、ということです。安否確認システムの代用として活用できないかという検討をしています。
それを視野に入れた場合には、キャリア契約の社用スマホを貸与している従業員にもWidefoneのアカウントを準備する必要があります。Widefoneと安否確認システムの月額費用を比較すると大きな差はないのですが、「停電時にIP電話が使えない」という点において、今は慎重に検討をしている状況です。
とはいえ、今回のWidefone導入によるBYOD促進で、従業員から不満どころか評価の声を多数もらえたので、活用の幅の拡大は積極的に考えていきたいと思っています。
※機能や価格は公開日時点の情報です
※価格は税抜表示です