ローカルナンバーポータビリティ(LNP)とは?
固定電話の番号が引継げる方法を解説!
公開日:2024/12/12 更新日:2024/12/12
公開日:2024/12/12
更新日:2024/12/12
固定電話番号(市外局番を持つ10桁の電話番号、「0AB-J番号」とも呼ばれます)の引継ぎを可能にする「ローカルナンバーポータビリティ(LNP) 」が注目を集めています。特に、2025年1月から開始される固定電話サービス提供事業者間の双方向番号ポータビリティの導入により、固定電話番号を保持したまま通信事業者を変更できる環境が整備される点が大きな話題となっています。
例えば、これまでは企業がオフィスを移転したり、通信コスト削減のために通信事業者を切り替えたりする際、電話番号の変更が必要となり、顧客や取引先への通知が必要でした。その結果、業務に支障をきたすことも少なくありませんでした。しかし、ローカルナンバーポータビリティの導入により、このような不便が解消され、電話番号を維持したまま、より柔軟にキャリアや通信プランを選べるようになります。
本記事では、この便利なサービスの仕組みや具体的な手続き方法についてわかりやすく解説します。
- 目次
- 固定電話番号の引継ぎが注目される理由
- ローカルナンバーポータビリティとは?
- 双方向番号ポータビリティ2025年1月開始
- ローカルナンバーポータビリティ実施の背景
- 固定電話番号の引継ぎ方法
- 手続きの基本の流れ
- 移行手続きの注意点
- 固定電話からクラウドPBXへの移行も可能
- クラウドPBXとは?
- 固定電話からクラウドPBXに移行するメリット
- 場所に縛られない電話利用で業務効率化
- スマートフォンの内線化
- 通信コストの削減
- クラウドPBXへの移行ステップ
- 1.課題の整理
- 2.ローカルナンバーポータビリティに対応しているサービスを選定
- 3.現在の契約内容の確認から、解約手続き
- クラウドPBXの導入なら、多機能クラウド電話「Widefone」
- LNPを活用して、通信環境の改善を!
固定電話番号の引継ぎが注目される理由
これまで固定電話の番号は、契約している通信事業者(キャリア)や地域に紐づけられており、キャリアを変更したり引っ越しをしても、同じ番号を引き継ぐことができませんでした。この制約の主な理由は、固定電話が物理的な回線に依存しており、番号がその回線や地域に紐づけられていたことにあります。
その結果、通信事業者や電話サービスを変更する際には、番号が変更されてしまい、顧客や取引先に新しい番号を通知する必要がありました。このため、業務や日常生活において、手間や混乱が生じるケースが少なくありませんでした。この番号変更の制約は、柔軟なキャリア変更やコスト削減を妨げ、多くの利用者にとって大きな不便をもたらす要因となっていました。
こうした課題を解決するために導入されたのが、「ローカルナンバーポータビリティ(Local Number Portability、LNP)」です。
ローカルナンバーポータビリティとは?
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)は、通信事業者を変更しても従来の固定電話番号を引き継ぐことができる仕組みです。固定電話番号をそのまま維持しながら、通信事業者やサービスを自由に選択できるようになり、利用者にとって大きな利便性を提供することが期待されています。
ローカルナンバーポータビリティで期待できるメリット
- 引っ越ししても同じ番号が使える
- 移転時の仕事の中断を減らせる
- 顧客や取引先へ番号変更を伝えなくて済む
- 通知の手間と費用を減らせる
- 通信事業者の乗り換えが簡単になる
固定電話番号を継続的に使用できるローカルナンバーポータビリティは、特にビジネスシーンで重要な仕組みです。
そして、2025年1月から固定電話の「ローカルナンバーポータビリティ(LNP)」がいよいよスタートします。これにより、企業や個人が利便性を高め、柔軟な通信環境を構築するための新たな選択肢が広がります。
双方向番号ポータビリティ2025年1月開始
固定電話サービス提供事業者18社が、「固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティ」を2025年1月に受付開始する発表を行いました。(2024年11月12日)
(出典)固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティの開始について
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2024/1112.html
番号ポータビリティとは、現在使用している電話番号を変更することなく、異なる通信事業者やサービスに移行できる仕組みを指します。
これまで、NTT東西が発行した固定電話番号(ひかり電話専用番号帯を除く)のみが番号ポータビリティの対象でしたが、今後は、他の事業者が発行した固定電話番号やひかり電話専用番号帯も番号ポータビリティの対象となり、現在の番号を維持したまま事業者を自由に選べるようになります。
※携帯電話の番号ポータビリティ(Mobile Number Portability、MNP)は、2006年から導入されています。携帯電話番号ポータビリティに対応する呼称として、本コラムでは、固定電話の番号ポータビリティを「ローカルナンバーポータビリティ」という単語を使って説明しています。
ローカルナンバーポータビリティ実施の背景
従来の固定電話は、アナログ回線やISDN回線を基盤としており、地域や物理的な回線に電話番号が紐づけられていました。そのため、番号を引き継ぐには地域や通信事業者ごとに異なる交換機の設定が必要で、引継ぎが技術的に難しい状態でしたが、ローカルナンバーポータビリティが実現できるようになったのは、2024年の固定電話がIP網へ移行したことが大きく関係していると考えられます。
参考コラム:【2024年】固定電話終了でどうなる?ビジネスフォンのコスト課題を解決する方法(2023年4月17日公開)
IP網への移行により、固定電話番号の管理がデジタル化され、番号の利用状況を一元的に管理できる中央データベースとの統合が可能になりました。
- 従来の交換機ベース・・・各地域や事業者ごとに番号が個別管理されていた
- IP網移行後・・・中央データベースで番号を仮想的に管理し、事業者や地域を超えた引継ぎが技術的に可能に
日本では、総務省が2025年までに全国の固定電話を完全にIP網に移行する計画を推進しており、これが双方向番号ポータビリティの技術的基盤を提供しています。IP網への移行は、通信事業者間での番号ポータビリティを実現するための重要なステップとなりました。
固定電話番号の引継ぎ方法
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)を活用した固定電話の番号引継ぎに関する具体的な手続きについては、2025年の正式導入を控え、現時点では詳細を発表している事業者はまだありません。しかし、これまでの通信業界における番号ポータビリティの事例を踏まえると、以下のような基本的な流れで進むことが想定されます。
手続きの基本の流れ
1.現在の契約内容を確認
番号の引継ぎが可能な対象番号か(LNP対応か)、可能な場合は必要な条件や手数料を確認します。
2.LNPに対応している引継ぎ先の通信事業者を選択し、申込みを行う
現在利用中の固定電話番号を引き継ぐ旨を伝え、必要な情報(氏名や住所など現在の契約者情報や引継ぎたい番号)を申請します。
3.必要書類の提出
契約者確認のための身分証明書や、現在の契約内容が分かる書類(請求書や契約書のコピーなど)を提出します。
4.事業者による番号移行の作業
新しい事業者が番号の引継ぎを進めます。移行中は一時的に通話が利用できなくなる場合があります。
5.新しいサービスの利用開始と動作確認
正常に通話ができるか確認し、問題なければ移行は完了します。必要に応じて、新しい通信サービスの設定(PBXやVoIPなど)を行います。
6.現在の事業者への解約手続き
解約のタイミングを間違えると、番号が無効になる可能性があるため、解約タイミングには注意が必要です。
移行手続きの注意点
手続きの流れの中から特に重要な、注意点をまとめます。
- 費用の発生・・・変更にかかる手数料や初期設定費、設備費用等の確認が必要です
- 利用可能かどうか・・・一部地域や事業者では対応していない場合があります
- 移行のタイミング・・・移行プロセス中の通信障害を避けるため、実施日は慎重な検討が必要です
固定電話からクラウドPBXへの移行も可能
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)は、NTT東西が提供する固定電話番号を維持したまま、任意の通信事業者やサービスに切り替えることを可能にする画期的な仕組みです。その中でも特に注目されているのが、固定電話番号をクラウドPBXを含むIP電話サービスに移行できる点です。
(図:2025年1月から可能になる双方向番号ポータビリティについて)
双方向番号ポータビリティ開始前
双方向番号ポータビリティ開始後
出典:インプレスINTERNET Watch ニュースより、ワイドテック改変
クラウドPBXは、インターネットを介して通話を管理するため、物理的な設置場所に縛られることなく、柔軟に利用できるのが特徴です。この柔軟性は、従来の固定電話では実現が難しかった新しい働き方や事業展開を可能にします。
クラウドPBXとは?
従来型のPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)は、電話回線や専用機器といった物理的な機器を用いてオフィス内外の通話を管理していましたが、クラウドPBXはインターネットを介してこれらの機能を提供します。そのため、物理的な設備が不要で、専用機器の設置や保守も不要になるのが特徴です。
働き方の多様化や柔軟な働き方へのニーズの高まりを背景に、クラウドPBXの利用が拡大しています。主要な通信事業者やIT企業を含む多数の事業者がクラウドPBXサービスを提供しており、競争が激化していることで、機能の充実や価格競争が進み、導入コストが下がり始めていることも、利用が拡大している一因となっています。
固定電話からクラウドPBXに移行するメリット
現在では、中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業がクラウドPBXを採用しており、その利用目的も多岐にわたります。企業の通信手段として重要な位置を占めるようになったクラウドPBXについて、その導入によるメリットを見てみましょう。
場所に縛られない電話利用で業務効率化
固定電話からクラウドPBXに移行することで得られる特長的なメリットの一つが、場所に縛られない電話利用を実現できる柔軟性です。
例えば、リモートワーク中の従業員や、複数拠点を持つ企業にとって、クラウドPBXは非常に有効です。従来の固定電話は物理的な回線に依存していたため、オフィスを離れると通話ができない、または番号が異なるといった制約がありました。しかし、クラウドPBXを導入すれば、どこにいても同じ番号で電話の発着信が可能な環境を整えることができます。
スマートフォンの内線化
クラウドPBXはスマートフォンやPCを利用して内線通話が可能です。「スマホの内線化」という言葉を耳にする機会が増えましたが、まさにこのことで、従業員が普段使っているスマートフォンを、オフィスの内線機器として使用ができます。
本社と自宅勤務者どうしで内線通話ができるだけではなく、海外にある端末とも内線通話が可能です。これは例えば、海外との通話料を削減したい場合や、代表電話番号にかかってきた電話を自宅や営業先など、オフィス外で対応したい場合に非常に有効です。
通信コストの削減
また、固定電話と比較して、クラウドPBXは基本料金や通話料が安価に設定されている傾向があります。
従来型の固定電話では、専用の電話回線や機器の設置、保守にかかる費用が必要で、これらのコストが利用料金に上乗せされていました。一方で、インターネット回線を通じて通話を行うクラウドPBXは、そのような費用が不要であるため、利用者にとってコストメリットのある選択になります。
特に、拠点間の内線通話や国際通話を多く利用する企業では、通話料の大幅な削減効果を実感できるでしょう。
クラウドPBXへの移行ステップ
固定電話番号をクラウドPBXに引継ぐメリットについて、十分ご理解いただけたかと思います。ここからは、一般的なクラウドPBXへの移行ステップをご紹介します。
1.課題の整理
現在の通信環境において課題となっているポイントと、クラウドPBXへの移行によってそれがどのように解決できるのかを整理します。課題が明確になることで、次のステップであるサービス選定をスムーズに進めることができます。
2.ローカルナンバーポータビリティに対応しているサービスを選定
クラウドPBXサービスを提供する事業者の中から、ローカルナンバーポータビリティ(LNP)に対応しているサービスを選びます。選定方法については、以下のコラムも参考にしてください。
(参考)クラウドPBX導入に失敗しないために確認したいポイント【5社比較】
3.現在の契約内容の確認から、解約手続き
あとは、前述の「手続きの基本の流れ」に沿って移行を進めていきますが、その中でクラウドPBXならではの「設定や機能のカスタマイズ」というステップが発生します。このステップが必要になるのは、クラウドPBXが利用者のニーズに合わせて柔軟な運用を実現できる多機能性を備えているためです。
クラウドPBXでは、以下のような機能を組み合わせてカスタマイズすることができます。
- 社内で使う内線番号や代表電話番号の設定
- 一斉着信やリレー着信など、着信ルールの設定
- 転送先番号や転送時間など、電話転送の設定
- IVR(自動音声応答)の設定
- 通話履歴や録音の管理設定
- 営業時間外の留守番電話設定
- CRM(顧客管理ツール)やチャットなど、他システムとの連携
クラウドPBXの導入なら、多機能クラウド電話「Widefone」
クラウドPBXの導入は、柔軟な運用と多機能性を活かして、企業の通信環境を大幅に改善する絶好の機会です。電話番号を維持したまま、通信費の削減や業務効率化を実現できる点は、現代のビジネスにおいて大きなメリットとなります。
Widefoneでは2024年12月現在、外線電話番号としてローカルナンバーポータビリティの対象とならない050番号のみを提供していますが、固定電話番号(0AB-J番号)およびローカルナンバーポータビリティへの対応に向けた準備を進めています。050番号と0AB-J番号、それぞれのメリットを活かしながら、外部サービスとの連携を強化し、積極的にサービスの充実を図る予定です。
自社開発・自社運営を特徴とするWidefoneは、ユーザーの声を反映しながら柔軟で高品質なサービスを提供しています。この強みを活かし、すでに便利で使いやすい通話アプリをリリースし、多くの企業から高い評価を得ています。
通信環境の効率化にとどまらず、ビジネスの生産性を大きく向上させるツールとして、Widefoneの価値はますます広がっています。新しい機能やサービスが続々と展開されるWidefoneに、ぜひご期待ください!
LNPを活用して、通信環境の改善を!
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)の導入により、固定電話からクラウドPBXへの移行が可能となり、これまで以上に柔軟で効率的な通信環境が実現します。従来の固定電話では難しかったコスト削減や場所に縛られない運用の自由度に加え、クラウドサービスを活用するという新たな選択肢を持てる点は、企業や個人にとって大きなメリットです。
これからの通信環境を最適化するために、LNPを活用した新しい通信スタイルの導入をぜひご検討ください。
※機能や価格は公開日時点の情報です
※価格は税抜表示です
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ローカルナンバーポータビリティ(LNP)とは?
固定電話の番号が引継げる方法を解説!
公開日:2024/12/12 更新日:2024/12/12
公開日:2024/12/12
更新日:2024/12/12
固定電話番号(市外局番を持つ10桁の電話番号、「0AB-J番号」とも呼ばれます)の引継ぎを可能にする「ローカルナンバーポータビリティ(LNP) 」が注目を集めています。特に、2025年1月から開始される固定電話サービス提供事業者間の双方向番号ポータビリティの導入により、固定電話番号を保持したまま通信事業者を変更できる環境が整備される点が大きな話題となっています。
例えば、これまでは企業がオフィスを移転したり、通信コスト削減のために通信事業者を切り替えたりする際、電話番号の変更が必要となり、顧客や取引先への通知が必要でした。その結果、業務に支障をきたすことも少なくありませんでした。しかし、ローカルナンバーポータビリティの導入により、このような不便が解消され、電話番号を維持したまま、より柔軟にキャリアや通信プランを選べるようになります。
本記事では、この便利なサービスの仕組みや具体的な手続き方法についてわかりやすく解説します。
- 目次
- 固定電話番号の引継ぎが注目される理由
- ローカルナンバーポータビリティとは?
- 双方向番号ポータビリティ2025年1月開始
- ローカルナンバーポータビリティ実施の背景
- 固定電話番号の引継ぎ方法
- 手続きの基本の流れ
- 移行手続きの注意点
- 固定電話からクラウドPBXへの移行も可能
- クラウドPBXとは?
- 固定電話からクラウドPBXに移行するメリット
- 場所に縛られない電話利用で業務効率化
- スマートフォンの内線化
- 通信コストの削減
- クラウドPBXへの移行ステップ
- 1.課題の整理
- 2.ローカルナンバーポータビリティに対応しているサービスを選定
- 3.現在の契約内容の確認から、解約手続き
- クラウドPBXの導入なら、多機能クラウド電話「Widefone」
- LNPを活用して、通信環境の改善を!
固定電話番号の引継ぎが注目される理由
これまで固定電話の番号は、契約している通信事業者(キャリア)や地域に紐づけられており、キャリアを変更したり引っ越しをしても、同じ番号を引き継ぐことができませんでした。この制約の主な理由は、固定電話が物理的な回線に依存しており、番号がその回線や地域に紐づけられていたことにあります。
その結果、通信事業者や電話サービスを変更する際には、番号が変更されてしまい、顧客や取引先に新しい番号を通知する必要がありました。このため、業務や日常生活において、手間や混乱が生じるケースが少なくありませんでした。この番号変更の制約は、柔軟なキャリア変更やコスト削減を妨げ、多くの利用者にとって大きな不便をもたらす要因となっていました。
こうした課題を解決するために導入されたのが、「ローカルナンバーポータビリティ(Local Number Portability、LNP)」です。
ローカルナンバーポータビリティとは?
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)は、通信事業者を変更しても従来の固定電話番号を引き継ぐことができる仕組みです。固定電話番号をそのまま維持しながら、通信事業者やサービスを自由に選択できるようになり、利用者にとって大きな利便性を提供することが期待されています。
ローカルナンバーポータビリティで期待できるメリット
- 引っ越ししても同じ番号が使える
- 移転時の仕事の中断を減らせる
- 顧客や取引先へ番号変更を伝えなくて済む
- 通知の手間と費用を減らせる
- 通信事業者の乗り換えが簡単になる
固定電話番号を継続的に使用できるローカルナンバーポータビリティは、特にビジネスシーンで重要な仕組みです。
そして、2025年1月から固定電話の「ローカルナンバーポータビリティ(LNP)」がいよいよスタートします。これにより、企業や個人が利便性を高め、柔軟な通信環境を構築するための新たな選択肢が広がります。
双方向番号ポータビリティ2025年1月開始
固定電話サービス提供事業者18社が、「固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティ」を2025年1月に受付開始する発表を行いました。(2024年11月12日)
(出典)固定電話サービス提供事業者間における双方向番号ポータビリティの開始について
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2024/1112.html
番号ポータビリティとは、現在使用している電話番号を変更することなく、異なる通信事業者やサービスに移行できる仕組みを指します。
これまで、NTT東西が発行した固定電話番号(ひかり電話専用番号帯を除く)のみが番号ポータビリティの対象でしたが、今後は、他の事業者が発行した固定電話番号やひかり電話専用番号帯も番号ポータビリティの対象となり、現在の番号を維持したまま事業者を自由に選べるようになります。
※携帯電話の番号ポータビリティ(Mobile Number Portability、MNP)は、2006年から導入されています。携帯電話番号ポータビリティに対応する呼称として、本コラムでは、固定電話の番号ポータビリティを「ローカルナンバーポータビリティ」という単語を使って説明しています。
ローカルナンバーポータビリティ実施の背景
従来の固定電話は、アナログ回線やISDN回線を基盤としており、地域や物理的な回線に電話番号が紐づけられていました。そのため、番号を引き継ぐには地域や通信事業者ごとに異なる交換機の設定が必要で、引継ぎが技術的に難しい状態でしたが、ローカルナンバーポータビリティが実現できるようになったのは、2024年の固定電話がIP網へ移行したことが大きく関係していると考えられます。
参考コラム:【2024年】固定電話終了でどうなる?ビジネスフォンのコスト課題を解決する方法(2023年4月17日公開)
IP網への移行により、固定電話番号の管理がデジタル化され、番号の利用状況を一元的に管理できる中央データベースとの統合が可能になりました。
- 従来の交換機ベース・・・各地域や事業者ごとに番号が個別管理されていた
- IP網移行後・・・中央データベースで番号を仮想的に管理し、事業者や地域を超えた引継ぎが技術的に可能に
日本では、総務省が2025年までに全国の固定電話を完全にIP網に移行する計画を推進しており、これが双方向番号ポータビリティの技術的基盤を提供しています。IP網への移行は、通信事業者間での番号ポータビリティを実現するための重要なステップとなりました。
固定電話番号の引継ぎ方法
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)を活用した固定電話の番号引継ぎに関する具体的な手続きについては、2025年の正式導入を控え、現時点では詳細を発表している事業者はまだありません。しかし、これまでの通信業界における番号ポータビリティの事例を踏まえると、以下のような基本的な流れで進むことが想定されます。
手続きの基本の流れ
1.現在の契約内容を確認
番号の引継ぎが可能な対象番号か(LNP対応か)、可能な場合は必要な条件や手数料を確認します。
2.LNPに対応している引継ぎ先の通信事業者を選択し、申込みを行う
現在利用中の固定電話番号を引き継ぐ旨を伝え、必要な情報(氏名や住所など現在の契約者情報や引継ぎたい番号)を申請します。
3.必要書類の提出
契約者確認のための身分証明書や、現在の契約内容が分かる書類(請求書や契約書のコピーなど)を提出します。
4.事業者による番号移行の作業
新しい事業者が番号の引継ぎを進めます。移行中は一時的に通話が利用できなくなる場合があります。
5.新しいサービスの利用開始と動作確認
正常に通話ができるか確認し、問題なければ移行は完了します。必要に応じて、新しい通信サービスの設定(PBXやVoIPなど)を行います。
6.現在の事業者への解約手続き
解約のタイミングを間違えると、番号が無効になる可能性があるため、解約タイミングには注意が必要です。
移行手続きの注意点
手続きの流れの中から特に重要な、注意点をまとめます。
- 費用の発生・・・変更にかかる手数料や初期設定費、設備費用等の確認が必要です
- 利用可能かどうか・・・一部地域や事業者では対応していない場合があります
- 移行のタイミング・・・移行プロセス中の通信障害を避けるため、実施日は慎重な検討が必要です
固定電話からクラウドPBXへの移行も可能
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)は、NTT東西が提供する固定電話番号を維持したまま、任意の通信事業者やサービスに切り替えることを可能にする画期的な仕組みです。その中でも特に注目されているのが、固定電話番号をクラウドPBXを含むIP電話サービスに移行できる点です。
(図:2025年1月から可能になる双方向番号ポータビリティについて)
双方向番号ポータビリティ開始前
双方向番号ポータビリティ開始後
出典:インプレスINTERNET Watch ニュースより、ワイドテック改変
クラウドPBXは、インターネットを介して通話を管理するため、物理的な設置場所に縛られることなく、柔軟に利用できるのが特徴です。この柔軟性は、従来の固定電話では実現が難しかった新しい働き方や事業展開を可能にします。
クラウドPBXとは?
従来型のPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)は、電話回線や専用機器といった物理的な機器を用いてオフィス内外の通話を管理していましたが、クラウドPBXはインターネットを介してこれらの機能を提供します。そのため、物理的な設備が不要で、専用機器の設置や保守も不要になるのが特徴です。
働き方の多様化や柔軟な働き方へのニーズの高まりを背景に、クラウドPBXの利用が拡大しています。主要な通信事業者やIT企業を含む多数の事業者がクラウドPBXサービスを提供しており、競争が激化していることで、機能の充実や価格競争が進み、導入コストが下がり始めていることも、利用が拡大している一因となっています。
固定電話からクラウドPBXに移行するメリット
現在では、中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業がクラウドPBXを採用しており、その利用目的も多岐にわたります。企業の通信手段として重要な位置を占めるようになったクラウドPBXについて、その導入によるメリットを見てみましょう。
場所に縛られない電話利用で業務効率化
固定電話からクラウドPBXに移行することで得られる特長的なメリットの一つが、場所に縛られない電話利用を実現できる柔軟性です。
例えば、リモートワーク中の従業員や、複数拠点を持つ企業にとって、クラウドPBXは非常に有効です。従来の固定電話は物理的な回線に依存していたため、オフィスを離れると通話ができない、または番号が異なるといった制約がありました。しかし、クラウドPBXを導入すれば、どこにいても同じ番号で電話の発着信が可能な環境を整えることができます。
スマートフォンの内線化
クラウドPBXはスマートフォンやPCを利用して内線通話が可能です。「スマホの内線化」という言葉を耳にする機会が増えましたが、まさにこのことで、従業員が普段使っているスマートフォンを、オフィスの内線機器として使用ができます。
本社と自宅勤務者どうしで内線通話ができるだけではなく、海外にある端末とも内線通話が可能です。これは例えば、海外との通話料を削減したい場合や、代表電話番号にかかってきた電話を自宅や営業先など、オフィス外で対応したい場合に非常に有効です。
通信コストの削減
また、固定電話と比較して、クラウドPBXは基本料金や通話料が安価に設定されている傾向があります。
従来型の固定電話では、専用の電話回線や機器の設置、保守にかかる費用が必要で、これらのコストが利用料金に上乗せされていました。一方で、インターネット回線を通じて通話を行うクラウドPBXは、そのような費用が不要であるため、利用者にとってコストメリットのある選択になります。
特に、拠点間の内線通話や国際通話を多く利用する企業では、通話料の大幅な削減効果を実感できるでしょう。
クラウドPBXへの移行ステップ
固定電話番号をクラウドPBXに引継ぐメリットについて、十分ご理解いただけたかと思います。ここからは、一般的なクラウドPBXへの移行ステップをご紹介します。
1.課題の整理
現在の通信環境において課題となっているポイントと、クラウドPBXへの移行によってそれがどのように解決できるのかを整理します。課題が明確になることで、次のステップであるサービス選定をスムーズに進めることができます。
2.ローカルナンバーポータビリティに対応しているサービスを選定
クラウドPBXサービスを提供する事業者の中から、ローカルナンバーポータビリティ(LNP)に対応しているサービスを選びます。選定方法については、以下のコラムも参考にしてください。
(参考)クラウドPBX導入に失敗しないために確認したいポイント【5社比較】
3.現在の契約内容の確認から、解約手続き
あとは、前述の「手続きの基本の流れ」に沿って移行を進めていきますが、その中でクラウドPBXならではの「設定や機能のカスタマイズ」というステップが発生します。このステップが必要になるのは、クラウドPBXが利用者のニーズに合わせて柔軟な運用を実現できる多機能性を備えているためです。
クラウドPBXでは、以下のような機能を組み合わせてカスタマイズすることができます。
- 社内で使う内線番号や代表電話番号の設定
- 一斉着信やリレー着信など、着信ルールの設定
- 転送先番号や転送時間など、電話転送の設定
- IVR(自動音声応答)の設定
- 通話履歴や録音の管理設定
- 営業時間外の留守番電話設定
- CRM(顧客管理ツール)やチャットなど、他システムとの連携
クラウドPBXの導入なら、多機能クラウド電話「Widefone」
クラウドPBXの導入は、柔軟な運用と多機能性を活かして、企業の通信環境を大幅に改善する絶好の機会です。電話番号を維持したまま、通信費の削減や業務効率化を実現できる点は、現代のビジネスにおいて大きなメリットとなります。
Widefoneでは2024年12月現在、外線電話番号としてローカルナンバーポータビリティの対象とならない050番号のみを提供していますが、固定電話番号(0AB-J番号)およびローカルナンバーポータビリティへの対応に向けた準備を進めています。050番号と0AB-J番号、それぞれのメリットを活かしながら、外部サービスとの連携を強化し、積極的にサービスの充実を図る予定です。
自社開発・自社運営を特徴とするWidefoneは、ユーザーの声を反映しながら柔軟で高品質なサービスを提供しています。この強みを活かし、すでに便利で使いやすい通話アプリをリリースし、多くの企業から高い評価を得ています。
通信環境の効率化にとどまらず、ビジネスの生産性を大きく向上させるツールとして、Widefoneの価値はますます広がっています。新しい機能やサービスが続々と展開されるWidefoneに、ぜひご期待ください!
LNPを活用して、通信環境の改善を!
ローカルナンバーポータビリティ(LNP)の導入により、固定電話からクラウドPBXへの移行が可能となり、これまで以上に柔軟で効率的な通信環境が実現します。従来の固定電話では難しかったコスト削減や場所に縛られない運用の自由度に加え、クラウドサービスを活用するという新たな選択肢を持てる点は、企業や個人にとって大きなメリットです。
これからの通信環境を最適化するために、LNPを活用した新しい通信スタイルの導入をぜひご検討ください。
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